どうして私が東京大学を中退したのか反省する会

東京大学を中退した人が何が原因なのか考えて悔いて反省して笑い飛ばす

大学の定期試験は受験勉強の48倍大変だ

頭が良いのか悪いのか

私は自分の頭が良くない、むしろ悪い方だと思っている。なにせ大学を卒業できなかったのである。駄目な実績が存在する以上、駄目な結論が出ても何も不思議ではない。しかし、それを人前で言うと決まって「いや、東大に合格できたのだから頭が良いでしょ」と反論される。果たしてどちらが正しいのだろうか。

受験は3年4科目

はっきり言って東大に入ること自体は簡単だ。たった1回の試験に全力投球すればいいからだ。とにかく、どれだけの時間を使ってもいいから、試験本番で合格点を叩き出せばいい。高校1年の頃から受験勉強を始めたとして、3年も受験勉強に費やすことができるのだ。自分の場合、数年かけて「解けりゃええんやろ、解けりゃ」の精神で色々な大学の過去問を漁ってたら「東大いけるんじゃね?」となって合格した、という感じなので、あまり苦労した記憶はなかった。


地味に「苦手科目があっても合格できる」というのも大学受験を簡単にしている要因である。私はとにかく数学が苦手で嫌いで、ひたすら数学から逃げ続ける人生を送ってきたし、当然のことながら数学の成績は悪かった。東大入試本番でも数学は120点満点中30点ちょいだった。だが合格した。英語・国語・数学・物理・化学の5科目の点数で合格点を超えればいいので、1科目くらい切ってもいけるのである。各科目に最低点を求める、例えば「数学で60点を超えていなければ他の科目がどんなに良くても不合格」のようなボーダーがあったらなあ、という持論があるのだが、これについては長くなるのでまた今度にしよう。

要するに、大学受験は3年かけて4科目の勉強をすればいいから簡単、という話だ。

定期試験は4ヶ月16科目

それに比べて定期試験はやたらに難しい。なにせ1つの試験に約4ヶ月ほどの期間しか与えられていないのである。その上、やたら勉強しなければいけない項目が多い。1学期に16科目の講義を履修していたとして、4ヶ月で16科目の対策をしなければいけないのである。期間にして大学受験の9倍、科目数にして4倍。つまり、大学の定期試験は受験と比べて48倍大変なのだ(怪しい)。

自分の失敗の一つは、大学受験→定期試験の際に起きたスピードの変化に適応できなかったことにあるだろう。思えば、周りの学生たちは一夜漬けが上手かったように見える。短時間で勉強するスキルに長けていた。どんなにサボっているような学生でも、試験前日から勉強して単位を取るなど、よくある光景だった。それに対して、私は一夜漬けが苦手だった。そもそもやったことが無いレベルだったので、どうやればいいかすら検討がつかない。

「それなら日頃からコツコツ勉強すればいいのでは?」と思われるかもしれないが、16科目を並行してコツコツ勉強するのも難しかった。受験時代の4科目でも結構な負担だったのだから、16科目はきつい。今までの4倍はきつい。時速12kmでランニングしている人に「じゃあ今から時速48kmで走って」と言うのはかなりの無茶振りだろう。それはもう、自動車に乗れというレベルの速度だ。「時速48kmは無理でも時速24km(100m走レベル)なら」ということで、8科目をコツコツ勉強すればよかったのかもしれない。残りの8科目を「出席だけで取れる」レベルのゴミで埋めておけば可能なはずだ。どの科目が楽なのか事前にリサーチすること、実際に受講した上でどの科目を勉強すべきか判断することが苦手だったので私には難しかったが。

確かに私は大学受験では勝利した。しかし、それは大学受験が得意だっただけで、定期試験が得意な人と戦えば負ける。中学・高校と、定期試験が苦手だった。成績も真ん中あたりで可もなく不可もなしという感じだった。定期試験の成績で大学が決まるのならば、間違いなく東大へは行けなかったであろう。頭が良いと言うからには、どちらも得意ではないといけなくて、片方にしか適性がなかった私が頭が良いと名乗るのもおかしい、という話。

 

補足

1学期16科目の根拠は、「私が1年生の1学期に履修した科目数が17科目で、17は素数だから計算しにくいということで16科目にした」というところにある。2年生の夏学期など、やたら暇な時期もあったが、工学部に入ってからもだいたい似たような感じだったので16科目にしているが、このあたりは人によって違いそうなので数字として適切ではないかも?